装談™ 第11回

andu amet 代表・チーフデザイナー 鮫島弘子

2015年8月9日(日)18時00分~19時30分

第11回目の「装談™」は、エチオピアで、ラグジュアリーさとエシカルを両立させたハイブランドandu amet(アンドゥ・アメット)を立ち上げた鮫島弘子さんをお招きして、お話頂きました。

andu ametは世界最高峰の羊皮、エチオピアンシープスキンを贅沢に使用したレザーブランドです。なかには1年半待ちの商品もあるほど、大人気ブランドです。

鮫島さんがどんな思いで、会社を立ち上げたのでしょうか?そこには幾多の試練がありました。それらをどのように乗り越えていったのかなど、事前に参加者から寄せられた質問のお答えとともに、いろいろとお話を伺いました。当日のレポートを掲載します。ご覧になってくださいませ。

レポート

andu ametは世界最高峰の羊革、エチオピアンシープスキンを贅沢に使用したレザーブランドです。なかには1年半待ちの商品もあるほど、大人気ブランドです。

そんなandu ametをエチオピアで立ち上げた鮫島さん。もともと、国内メーカーのデザイナーとして働いていたのですが、トレンドやマーケットに合ったものを大量生産し、消費するというモノ作りに違和感を持ち、青年海外協力隊デザイン隊員としてアフリカへ。そこで、ファッションに関するプロジェクトに参画し、現地の実状を目の当たりにしました。羊革は、標高が高く酸素が少ない地域に生息しているものほど、破れにくく丈夫であり、エチオピアの羊革は、世界の高級ブランドに使用されるほど、高品質です。

しかし、その品質の良い皮を鞣す技術や、それを製品にする技術が発達しておらず、加工する前の皮を廉価で輸出をしてしまっていた現状を知ることになります。このままでは、技術も資源も現地の人から離れてしまうことを懸念しました。

そこで、鮫島さんはエチオピアのような貧しい国の中でもファッションビジネスの可能性を感じ、エチオピアでのレザー製品の製作を決心。貯金を切り崩し、エチオピアでのバッグ製作に着手しました。

その後、実際に現地の職人や若者を雇い、カバン作りの技術を伝えていきます。しかし、日本とエチオピアでの仕事に対する考え方や捉え方、満足いかない環境なども重なり、事業はなかなか一筋縄ではいきませんでした。しかし、そのような環境のなかでも鮫島さんは、モノ作りに対する真摯な姿勢を崩すことなく、製品を買って頂くお客さまへの思いを職人たちに語りかけ、妥協することなく何度も何度も言い聞かせていきました。すると彼らの仕事に対する姿勢、技術が次第に改善していき、現在では世界中のお客様に満足して頂けるような質にまで成長しました。

最後に、鮫島さんは、このように語っています。「私たちは、環境に良いものを作り、現地の人々を支えるような事業を行っていますが、それが主要な目標となっているわけではありません。お客さまに長く愛されるものを作ることが一番大事だと考えています。

エシカルと強調されがちな現在の日本ですが、アフリカを可哀想と思って製品を購入してもらうのではなく、心からその製品のことを『素敵だな』と思って購入してもらえるモノ作りをしたい。10人のうち9人に気に入ってもらえなくても、一人の人には強く心から愛されるような個性的な存在でありたい。私たちがつくったバッグを大切に手入れし、自分の子供や孫の代まで受け継いで使用してもらえるような、そんな素敵なストーリーのあるブランドを目指しています。」

流行によってゴミとなってしまう製品ではなく、しっかりお客さまに愛されるモノ作りを大切にされている気持ちが伝わる今回の装談でした。今年現地法人化を果したこともあり、鮫島さんの今後の更なるご活躍に期待いたします

プロフィール

鮫島弘子(さめじまひろこ)andu amet 代表・チーフデザイナー
東京出身。国内メーカーでデザイナーとして働くなかで、大量生産・消費のものづくりに疑問を感じるようになり、2002年、青年海外協力隊デザイン隊員としてアフリカへ。
エチオピアでファッションショーを企画開催、ガーナでフェアトレードプロジェクト立ち上げるなどファッションに関するプロジェクトに複数携わる。
帰国後、外資系ラグジュアリーブランドのマーケティング担当を経て、2012年2月、株式会社andu ametを設立。
世界最高峰の羊皮エチオピアンシープスキンを贅沢に使用したリュクス×エシカルなレザー製品を製造・販売。
日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2013 キャリアクリエイト部門賞(2012)、APEC若手女性イノベーター賞(2013)等多数受賞。2014年には、安倍総理大臣アフリカ歴訪に同行するなど、若手起業家として注目を集めている。
andu amet http://www.anduamet.com/