Think of Fashion 015

ジャンヌ・ランバン ファンタジーとリアリティの共存

講師:朝倉三枝(神戸大学国際文化学部准教授)

2014/2/23

1889年に創業したランバンは、パリのクチュールメゾンの中でも最も古い歴史を誇る。2001年にアルベール・エルバスをアート・ディレクターに迎えて以降、ますます脚光を浴び、現在もパリのトップメゾンの一つとして注目を集めている。
しかし、その知名度とは裏腹に、メゾンの創始者であるジャンヌ・ランバン(1867-1946)については意外に知られていない。
彼女はどのようなデザイナーだったのだろうか。

子供服というジャンルの開拓や、芸術家とのコラボレーション、インテリアや香水など異分野への参入、さらにライフスタイルブランドの提案など、ランバンのファッション史における功績や、古今東西の芸術や文化に着想を得たデザインについて、同時代の社会背景も交えながらたどる。
またそこから、ランバンのアイデンティティを護るガードマンとも自負するエルバスが、彼女から何を継承し、そのクリエーションを展開しているかも併せて考える。

「芳醇なファンタジーとブレンドされた現実。これがランバンのランバンたる秘訣です。」アルベール・エルバス

   

講師プロフィール

朝倉 三枝(あさくら・みえ)
1975 年生まれ。パリ第10大学DEA課程修了、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科博士後期課程修了。博士(人文科学)。現在、神戸大学国際文化学部准教授。専門は服飾史、ファッション文化論。
著書に『ソニア・ドローネー 服飾芸術の誕生』(ブリュッケ、2010年)。論文に「ジャンヌ・ランバン―20世紀モードの静かなる改革者」(『fashionista』no.001、2012年)「衣服からクリムトを読む」(『ユリイカ』第45巻第4号、青土社、2013年)など。