Think of Fashion 004

ハトラ 空間の(脱)領土化

講師:星野太(東京大学特任助教)

2013/1/27

2010年にデザイナーの長見佳祐が立ち上げたブランドhatraは、「カオス*ラウンジ」とのコラボレーションや、東京都現代美術館で開催された「Future Beauty」への参加など、従来のファッションブランドの枠を超えて多様な展開を見せている。

そのhatraの衣服に見られる最大の特徴は、何よりもその印象的な「フード」にあるだろう。
Hatraのフードは何よりもその独特な形状によって、それを見る/着るものの身体感覚に何らかの変容をうながす。デザイナーの長見は、これまで複数のインタビューの中で、フードという衣服のパーツがもつ遮断的な機能について言及している。すなわちこう言ってよければ、hatraの深いフードには、外界からのノイズを遮断し、擬似的な「部屋」を作り出すというイメージが付与されているということだ。

「フード」というパーツ自体がもつ歴史性にも目配りしつつ、その特異なブランドコンセプトとそこで提示される衣服のありかたについて考える。

   

講師プロフィール

星野 太(ほしの・ふとし)
1983年生まれ。専攻は美学、表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。現在、東京大学特任助教。
編著に『拡張される網膜|Expanded Retina』(BAMBA BOOKS、2012年)、共著に『組立 知覚の臨界』(組立、2010年)、共訳書にジェフリー・スコット『人間主義の建築』(鹿島出版会、2011年)、エイドリアン・フォーティー『言葉と建築』(鹿島出版会、2006年)など。