column 019

高野聡司(大学生)

ユナイテッドアローズ初の女性執行役員として業界で有名な山崎万里子さん。
私も以前から、山崎さんの名前は耳にしていたこともあり、男性社会と言われがちな業界で、マネージャーとして働いている女性はいったいどんな「装い」をしているのだろう、という好奇心から「装談」に参加した。

ファッション業界のキーパーソンにキャリアの軌跡を聞く
装談 第10回: ユナイテッドアローズ 執行役員 山崎 万里子

   
実際に、山崎さんにお会いしてみると、いわゆる、「デキ女」というような雰囲気は感じられず、落ち着いた佇まいの女性であった。女性で管理職ということが何も特別なことではないのだと、体現しているようであった。

会場内はやや女性の数が多いという印象だ。今回の「装談」では、山崎さんのユナイテッドアローズとの出会いから就職、社内の様々な部門を担当したこと、最終的に執行役員になるまでの軌跡を、その時々にあったエピソードを交えながらお話しして頂いた。

お話し頂いたトピックの中で俎上に載せられたのは、「女性の社会進出における、意識の問題」について。
日本での大卒女性の就労率が69%と北欧に比べて劣っていることや、安部政権の政策の1つでもある、女性の管理職の割合を2020年までに現在の10%から30%に上げることなど、性別における差別問題は近年、様々な視点で多く取り上げられている。ここでは、「女性の意識」についての山崎さんのお話を、20代でかつ男性の私の視点でレポートしたいと思う。

「女性の意識を変えるためには、男性の意識を変える必要がある」
山崎さんのお話しの中で最も耳に残っているコトバ。実際のエピソードとして、男性の上司は、女性は仕事の責任をあまり持ちたくないと思っているのではと、重要なポストや仕事を与えることを申し訳ないと考えているらしいと山崎さんは仰っている。男性の間違った意識が、女性の意識をも間違ったように定義しているのかもしれない。

そのほかに例を挙げると、男性が女性に贈り物をする行為や、食事の際に男性の方が多く支払う習慣も暗黙の了解になっていると言えるのではないか。アメリカでは、男性が食事を奢ろうとする行為は、女性差別として忌避されている。そのため、割り勘が「デキる男」の振る舞いとされている。生活の中の小さな一部を見ただけでも、日本における実状を垣間見ることが出来る。

男性の意識が女性の意識を定義づけているので、女性の意識を変えるためには、男性の意識を変える必要がある。
逆もまた、然りである。

今回の「装談」では、女性で管理職が珍しいという男性の意識を変えると共に、管理職のキャリアがあるという道を示すことで女性の意識を変える、という双方の意識を変革するような試みを見ることができた。

高野聡司(大学生)
2015/6

   
*「装談 第10回」のレポートについてはこちらを参照
Fashion HR 「ファッション業界ウラ話」
キャリアの扉は自分からノックした人に開かれる。ユナイテッドアローズ執行役員・山崎万里子さん登壇「装談・第10回」レポート