column 012

西田拓志(coromozaオーナー)

つまらない「服」が多い。情報社会によってあらゆる手法がインターネットを経由して簡単に真似できるようになった。見せ方、ブランディング、デザイン、作り方、考え方、売り方。全てが簡単に手に入れられるようになり、だからなのか、「服」そのものに「いろんなもの」が紐付いて、多くを語る。

しかし「何」か足りないと感じる。これだけ多くのものが揃っているにもかかわらず、「足りない」と感じる。

おそらくその理由はこういうことなのだろう。簡単に情報が手に入るからこそ、どこかで見たようなデザインや見せ方に、「服」の在り方までもモノマネばかりになってしまった。絶対的にオリジナリティが薄くなり、「いろんなもの」がうまく立ち振舞う。情報を操り、それに踊らされ、あたかもそれが正しいと勘違いを起こす。服を作った理由であるコンセプトですら「服」とは関係なく過剰に感じる。今のファッション業界に流れる「飽き飽きとした感覚」は、この「いろんなもの」ではなかろうか。

そして真剣に「服」に目をやると、そこには「いろんなもの」がそぎ落とされた不細工な「足りない服」が並んでいる。シンプルになればなるほど、「服」の絶対的な価値が見えてくる。改めてここで考えて欲しい。「服」を手に入れようとした時、そこについてくる「いろんなもの」は本当に必要な価値なのか。

僕が手にしたいのは「服」である。僕が着たいのも「服」である。今一度、「服作り」を考える時ではなかろうか。「いろんなもの作り」はもうオールドファッションである。

西田拓志(coromozaオーナー)
2015/3

   
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