三宅一生、川久保玲、山本耀司ら日本人のデザイナーは、西洋服飾史の文脈において「洋服と異なる和服の伝統」に根ざした特異な服作りを試みる存在として評価されてきた。
しかしながら、実際には、明治期に日本に洋服がもたらされて以来、洋服をデザインするという困難の克服の歴史が始まり、彼らが現れるまでの間、洋服を日本流に解釈しようとする様々な試みが行われてきた。
こうした歴史を踏まえるなら、やはり、日本人のデザイナーが手がける衣服を「和服の伝統」という平板なイメージに結び付けることはできない。何故なら、彼らは、まさに「和服の伝統」だけでは対応しえなかった洋服という新しい衣服をめぐる困難を克服した先に位置しているからだ。
明治の洋服職人から話を始め、日本人にとって洋服をデザインするということの何が困難であったかを確認する。
さらに、そうした歴史を踏まえて、これまで和服の伝統と結び付けて語られることの多かったコンテンポラリーなデザイナーのコレクション、特に、山本耀司に再考を加える。
講師プロフィール
安城 寿子(あんじょう・ひさこ)
1977年東京生。服飾史家。(研究対象は日本近代の服飾から現代まで) 神戸芸術工科大学非常勤講師。お茶の水女子大学大学院博士後期課程在籍。
著書に「『モダン』と出会う着物」(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』フィルムアート社2012年)がある。
1977年東京生。服飾史家。(研究対象は日本近代の服飾から現代まで) 神戸芸術工科大学非常勤講師。お茶の水女子大学大学院博士後期課程在籍。
著書に「『モダン』と出会う着物」(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』フィルムアート社2012年)がある。