フェイスブックを何気なく見ていたら、ソマルタの廣川玉枝さんが朝日新聞(2015年2月5日)の記事をアップされていました。その記事は、まとふの堀畑裕之さんが私の恩師でもある小池千枝先生(文化服装学院で高田賢三さん、山本耀司さんらを育てた偉大な方)の講義のことを書いたものでした。「気づきや発想の転換を促す」教育のお手本のような講義とのことでした。
学ぶという体験は、その人にとって、かけがえのないものになるのだと、その場にいるかいないか、その講義を受けるか受けないかで、その人の人生が変わってしまうとてつもなく大事なものであるということを、その記事を読んで、改めて認識しました。私がファッション教育の活動を始めたのも、小池千枝先生の講座のサポートを務めたことがきっかけでした。
私がファッションに興味を持ち始めたのは、中学生の頃で、周りから見たら遅いほうだと思います。大学で地方から東京に出てきて、地方の学生から見れば東京は憧れのファッションの世界でした。着ることに夢中になり、アルバイトをして貯めたお金で、新宿伊勢丹に通ったのを覚えています。
服を作ることにも興味を持ち、小池千枝先生が森ビルのアーク都市塾で「小池千枝ファッションアトリエ」という講座を行うことを新聞で知り、その講座を受講しました。小池先生の講座を受ける中で、多くの方の意識が変わるのを間近に見て、学ぶ場をつくるということの重要性を認識しました。その時の受講生の多くは現在、ファッションの世界で活躍されています。パリで活躍している方もいるほどです。
小池先生は人それぞれの才能を伸ばしてくださいました。私自身に関してもそうです。服を作るというより、場を作るほうに向いているというか、興味もありまして、講座を運営する仕事を手伝わせてくださいました。その後、ファッションビジネスを学ぶIFIビジネス・スクール、アパレル企業へと進み、それと並行しながら、ファッションを学ぶ場を作っていく活動を始めました。
今まででも数多くの学ぶ場を作ってきました。これからも作っていきます。私にとっては数多くのひとつですが、その講座に学びに来ていただいた方にとっては、1つ1つがかけがえのない1回です。学ぶ場というのはその人の人生を変えるかもしれない大切な場です。私自身がそうでした。皆さんにとってもそうだと思います。そのような場を作っているという責任を今一度、認識して、Fashion Studiesの活動に取り組んで行きます。
WebマガジンFASHION STUDIESがこのコラムとともにスタートします。
皆さま、Fashion Studies共々、見守っていただければ嬉しく思います。どうぞよろしくお願い致します。
ファッションスタディプランナー 篠崎友亮
2015/2