コム・デ・ギャルソンの歴史は、その多くが1981年のパリコレデビューを始点として、「黒の衝撃」などキーワードとともに語られてきた。
しかしながら、よく知られているようにブランドの創設は1969年である。奇妙なことに、1970年代のコム・デ・ギャルソンは語られないのだ。このことはコム・デ・ギャルソン特集をしている雑誌をいつくか手に取りパラパラめくるだけで簡単に確認出来る。
当日は、まず『an・an』など1970年代のコム・デ・ギャルソンが掲載された雑誌を見ながら、当時のコム・デ・ギャルソンと「黒の衝撃」以降との落差、私たちが現在知るようなコム・デ・ギャルソンになっていく過程を確認し、さらに、1970年代が語られない理由を「歴史」をキーワードに試論的に考察する。
講師プロフィール
1981年山形県米沢市生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程在籍、文化ファッション研究機構共同研究員、武蔵大学社会学部非常勤講師。専門は文化社会学、メディア史、ファッション論。
論文 に「回帰と更新の果てにANREALAGEが見た景色」(『A REAL UN REAL AGE』パルコ出版、2012)「COMME des GARCONS以前のコム・デ・ギャルソン――1970年代が可能にしたCOMME des GARCONS」(西谷真理子編『相対性コム・デ・ギャルソン論』フィルムアート社,2012)、 「洋服から身体を引き剥がす―ANREALAGEの示す『かたち』」(西谷真理子編『ファッションは語りはじめた』 フィルムアート社、2011)、「『服飾雑誌』の歴史的成立―1950~60年代の『装苑』の誌面構成と読者の変容に焦点を当てて」(『マス・コミュニ ケーション研究』76号、2010)
西谷 真理子(にしたに・まりこ)
1950年生まれ。東京都立大学卒業後、文化出版局に入社。1980-82年パリ支局勤務。「装苑」「ハイファッション」他に在籍し、2011年3月定年で退職。以後2012年6月までハイファッション・オンラインのチーフエディター。現在はフリー。
2011年秋に東京オペラシティで開催された『感じる服、考える服 東京ファッションの現在形』展共同キュレーターを務め、カタログ(以文社&PRESTEL社刊)を編集。2010年から2011年にかけては、後藤繁雄主宰のSuper School「ファッションを記述する」で講師も。
編著に『ファッションは語りはじめた』『相対的コム デ ギャルソン論』(2012年12月刊)(ともにフィルムアート社)。『A REAL UN REAL AGE』(パルコ出版 2012年12月刊)に「問い続ける人、森永邦彦 アンリアレイジを森永の言葉から読み解く試み」を寄稿、世田谷ものづくり学校発行のIID PAPERにコラム「女子の強気」を連載中。2013年4月より、京都精華大学ポピュラーカルチャー学部ファッションコースの特任教授に就任予定。