interview : House_Commune

2017-18AW

House_Commune

2017-18秋冬東京コレクションを振り返る会
公開インタビュー 1.

   
House_Communeデザイナー 下中 美穂子
聞き手:南馬越 一義

   

――今回が初めてのショーだと思いますが、威風堂々感が半端ない感じでしたね。東京コレクションの中ではHYKEと争うぐらいに威風堂々な感じがありました。

本当ですか。それはちょっと褒め過ぎかも(笑)。

――ベテラン感がすごく出ていました。下中さんはニューヨークのブランド、3.1 フィリップ リムのPRをやっていらっしゃったじゃないですか。ですから、ニューヨークコレクションとかを経験していると思うんですけれど、今回の東コレに出るにあたって役に立ったことや、東京とニューヨークの違いについて何か思われたことはありますか。

ニューヨークと東京ではコレクションのあり方がそもそも違うと常々思っていまして、ニューヨークのブランドにいた頃はビジネスの空気を強く感じていました。マーケティングを細かくやった上でショーに臨むというようなやり方をしていたので、基本的にはビジネスで関わりのある方々のみをご招待し、それ以外の方は会場にすら入れないというようなものだったのに対して、東京コレクションはどちらかというと、もちろんビジネスがあってこそのショーだとは思うんですけれども、盛り上げようという雰囲気がすごくあるなと思う中での今回の参加でした。

――ニューヨークでやってきたものとは勝手が違ったと。良かった悪かったでは言えないとは思うんですけれども、実際のところどうでしたか。

どちらかというと出来上がっている素材をどのように調理するか、どのように盛り付けるか、どうやってプレゼンテーションをしてお客さまのところに届けるかというのがニューヨークでの仕事だったんですけれども、ハウスコミューンというブランドでの私の仕事は、素材をどうやって作るか、どういう種で、どういう土で、どういう育て方をして実らせるかというところにありますので、仕事のやり方がそもそも全然違うかなというふうには思います。

   

――そうやって実らせていったコレクションですけれども、今回は「都会に生きる女性の日常の視点でのエレガント」というのがテーマということですが、どのようにエレガントを表現したのかご説明していただけますか。

これは個人的に思っているだけなのかもしれませんが、一般的にこれまで考えられていたエレガントと、私が最近非常に強く感じているエレガントとにすごくズレが出て来ているなというふうに考えたのがそもそもの始まりでした。とても美しいドレスを着ているとかではなくて、Tシャツやシャツにパンツという格好でとてもエレガントに見える人がいるなと。そういったシンプルな装いの何がエレガントに感じさせるんだろうと思ったときに、やっぱり女性の内面から出て来る意志とか強さとかがとても重要なんじゃないかと思って、そこをどのように洋服で表現していけばいいのかなというふうに考えました。

――具体的にはどの辺にこだわったんですか。全体的なイメージとしてエレガントというのは実感できるんですけれども。

一見、何の変哲もないタンクトップやショートパンツのように見えるものも、生地の重みであったり、ちょっとしたディテールなどで工夫をしています。日本人である私たちが着たときにどこにボリュームを持たせて、どこにシェイプをしていくのかというところを、その構造を少しずつ変えてデザインしていきました。

――素材やカッティングという部分に、感じられた内面からの美しさをぶち込んだという感じですね。

というよりも、どうやって引き出していくかということかもしれません。

   

――ハウスコミューンのお客さまはどういう感じの方が多いんですか。

私と大体同じくらいの年齢の女性、年齢で区切ってしまうと30代とか40代の女性が多いんですけれども、どちらかというと仕事で自立されている女性が多いのかなというふうに思います。

――今回、ショーをやることでお客さまの層に変化があると思いますか。

お客さまの層に変化があるというよりは、これまでは展示会ベースで受注発注というような形で商品を作っていたので、本当に限られた方にしか展示会で商品を見ていただくことができなかったんですけれども、今回、ショーをすることによって同じような層の女性により広く伝わるんじゃないかなというふうには思いました。

――潜在的なお客さまにリーチできたということですね。

そうですね。これまで伝えきれていなかった方に伝えられたかなと思います。

――最後に、これはもしかしたら聞いてもらいたくないのかもしれないんですが、ディレクター就任時におっしゃっていたことで、旦那さまが良きアドバイザーになっていて、頼りにしているとおっしゃっていたと思うんですよ。それで、例えば今回のコレクションでもそういった部分はありますか。

ショーを組み立てていくときにやっぱり気にしてくれて、「今どんな感じなの?」とか聞いてくれたりしました。一人で結構悩むことも多かったんですけれども、気持ちを吐き出すことができたので、個人的にストレス解消になりました。

――精神的な支えになったということですね。ありがとうございます。